日時:令和5年8月27日(日)13:30~15:45
会場:彩の国すこやかプラザ 2F研修室1・2・3
演題:「持続可能な障がい者歯科治療を目指して」~ライフステージを見据えた医療の考え方~
講師:埼玉県社会福祉事業団嵐山郷 歯科診療部長 内田淳 先生
受講者数:43名
重度知的障がい者や重症心身障がい者のための社会福祉施設「嵐山郷」の歯科診療所に勤務されている内田先生より、障がい者歯科診療の実態と障がいの特性に合わせた歯科治療についてご講演いただきました。
服薬の影響や全身状態で口腔環境が変わるといった内容を抗てんかん薬による歯肉増殖症や口腔内の特徴を写真などで大変わかりやすく説明していただきました。6~7割の人が服薬している抗てんかん薬は、発作時のかみしめで咬筋が発達しブラキシズムなどの咬耗が原因で歯冠長が短くなることや歯の動揺も副作用であることがわかりました。改善がみられた症例として筋ジストロフィーで定期的に検診を受けている方の口腔内や重症心身障がい児で気管カニューレ除去後歯石を取ることで嚥下ができるようになったケースを挙げていました。
このように定期検診の継続やライフステージに合わせた持続的な管理で口腔内の状態が改善されていくことを歯科は発信する事が大切であることを学びました。最後に知的障がい者の加齢問題について医療従事者、特に歯科衛生士は口腔機能をみて口腔ケアの対応をしてほしいとお話がありました。障がい者歯科治療を「持続可能な」状態にするためには、その程度やライフステージにより口腔の環境や機能が変化することを歯科衛生士が理解し、より知識を深めなければならないと感じました。