日時 令和6年3月10日(日) 13:30~15:30
会場 彩の国すこやかプラザ2Fセミナーホール
参加人数 65名
晴天ながらも風の強い寒さが身にしみる日でしたが多くの会員が集まり、他支部での地域歯科保健事業の展開についての報告を聞きました。当日はお忙しい中一般社団法人 埼玉県歯科医師会地域保健部副部長 田中 入先生にお越しいただきご助言いただきました。
【狭山支部】 「狭山市立小学校の歯科保健指導にかかわった経緯と現状」 宮岡清美さん、東浦智子さん
1990年3月に発足した狭山支部が1994年に狭山台小学校学校歯科医より歯磨き指導の依頼を受けたことから始まった学校歯科保健指導。市内17校のうち狭山台南小学校を含む2校の歯磨き指導を行い、そこから学校歯科保健指導事業としての位置づけ、予算化されるまでの具体的な経過をお話しいただきました。一口に「歯磨き指導」といっても市長・教育長・学務課との交渉やご説明、予算をつけていただくこと、媒体の作成や保管、執務者の確保等、そのひとつひとつを地道な活動と実績を積み重ね、要望書を出し続けて2002年に狭山市全小学校17校の歯磨き指導を行うこととして認めていただいた担当者の方々並びに支部の皆様のご努力は本当に素晴らしいものだと感じました。歯科衛生士だけでなく、歯科医師会の先生方のご助言、ご提案があり、歯科医師と歯科衛生士だけでなく学校やそれを取り巻くすべての人々が連携し、未来ある子供たちの口腔内の健康、ひいては全身の状態の維持に努めていく必要があると思いました。これからさらに進歩していくためのマンパワー不足の解消や時代に則した通信・教育手段としてのPCやiPadの応用など学校側の協力を得る課題があることも現実ではありますが今まで少しづつ着実に努力されてこられた狭山支部の皆様のご活躍に注目していきたいと思います。
【大宮支部】 「令和5年度 地域歯科保健活動について」 若林美咲枝さん、肥沼順子さん
支部活動として、さいたま市健口教室、幼稚園・保育園・小中学校・特別支援学校・ろう通所施設・放課後児童クラブ・さいたま市総合教育センターでの歯磨き教室、歯ッピーわらび・親子の健康フェスティバル等での歯磨き指導の具体的な実施内容報告がありました。令和2年2月頃から流行し始めた新型コロナウイルス感染症感染拡大予防のため歯科衛生士の業務にも制約が多くなり、マスクやフェイスシールドの装着が必然となったり、集団の場での実習を伴う歯磨き指導ができなくなったりと活動に大きな影響がありました。たくさんの事業に携わっている大宮支部だからこそのご苦労があったであろうと報告をお聞きしていて思いました。しかし令和5年5類感染症に移行した時点から集団における歯科保健指導を再開する動きが出始め、単に以前の指導をそのまま始めるのではなく新たに検討(感染対策・指導内容変更等)を重ね、子供から高齢者に至るより多くの方々に歯科に対する問題提起や提案、指導を行っていくことができるようになりました。大宮支部では支部内でグループラインによる情報の共有を行い、実施予定や執務者の調整をしているそうです。新規事業についても精力的に活動されており、執務する場合の不測の事態に備え、歯科衛生士賠償責任保険制度に加入した支部員にその費用の3割を支部から支給しているという点は興味深いものでした。そしてHPをご覧になり依頼されてこられた事業所の方がいらしたという報告はHPを作る立場の人間としては励みに感じました。
【坂戸支部】 「坂戸支部主体事業の立ち上げ」~ボランティア出前講座「毛呂山町ゆずっこ元気体操」グループフレイル予防教室~ 杉木礼美さん、中馬眞理子さん
地域歯科保健の普及に寄与することを第一の目的に活動されてこられた坂戸支部が毛呂山町における高齢者のグループを対象としたオーラルフレイル予防教室を開催するまでの経緯と過程、教室での内容について報告されました。平成30年4月に鶴ヶ島社会福祉協議会を通じ対象となる団体を紹介していただき主体事業として始動しながらも新型コロナウイルス感染症の大流行により4年近く活動を中止せざるを得なかったことは本当につらいことであったと思います。令和5年になり5類感染症移行に伴い、現代社会で多くの注目を浴び始めたフレイル予防教室を再開するにあたり埼玉県歯科医師会会員の浅見真司先生から毛呂山町役場高齢者支援課に働き掛けをしていただいたこと、坂戸支部で毛呂山町の行政がどのような事業を行っているか把握していたこと、行動範囲が狭くなりがちな高齢者のためにこちらから自治会(毛呂山町内45か所あるうち2地区づつ)に出向いていくことを実践していったことが令和6年度には「ゆずっこ元気体操」2回「いきいきシニア講座」1回を継続できるように予算化され協力事業とすることができた要因だと思われます。現在は令和6年度の高齢者主体事業として新たに1か所での開催が決定しているそうです。毛呂山町の現状としてフレイル予防としての「栄養」と「運動」についての教室は開催されていたものの「口腔」に関しては教室が開催できていない状態であったため行政側と衛生士側のニーズが合致し開催の運びとなりました。内容としてはオーラルフレイルについての知識、予防するためには何をしたらいいか、筋肉が弱まることで起こる様々な弊害、唾液の役割や唾液が出やすくするためのマッサージ方法、パタカラ体操の仕方などをわかりやすくお話ししているそうです。
【一般社団法人 埼玉県歯科医師会地域保健部副部長 田中 入先生より総評】
埼玉県歯科衛生士会の活動にお褒めの言葉をいただきました。さらにこれからの歯科衛生士に求められる知識の一つとしてドライマウスを挙げられ、原因や症状、臨床的視診判定についてご自身のPCをお使いになりながらお話をいただきました。