日時:令和5年4月16日(日) 13:30~16:30
会場:彩の国すこやかプラザ2F 研修室 1・2・3
演題:e ラーニング「災害歯科保健」
講師:国立保健医療科学院 健康危機管理研究部 上席主任研究官 奥田博子先生
講師:東京医科歯科大学救急災害医学分野 非常勤講師
日本災害時公衆衛生歯科研究会 世話人 中久木 康一先生
講師:公益社団法人 日本歯科衛生士会 副会長 久保山 裕子先生
受講者数:50名
前日の雨から初夏を感じる暑さの中、検温、マスク着用、換気の感染防止対策を実施した上で eラーニング「災害歯科保健」が下記10項目の内容で開催されました。
- 「災害と支援の枠組み」23分
- 「災害時の地域保健」24分
- 「災害時の被災者の心理」22分
- 「災害時の歯科の役割と変遷」15分
- 「災害時の歯科衛生士の活動の実際」16分
- 「災害時の歯科口腔アセスメントの体系化」13分
- 「災害時の歯科口腔アセスメントの実際」16分
- 「災害歯科保健活動における他職種との連携」23分
- 「被災者の心情に配慮した歯科保健活動」16分
- 「災害歯科保健活動における「食べる」支援」14分
講聴した一部を紹介いたします。昨年度5月22日第2回第5次生涯研修会講師の恩田先生より「災害と支援の枠組み」では、災害救助法による医療の提供は応急的に処置をするものであり、災害時に都道府県本庁、保健所、各自治体において地域医療体制を整備・連携し災害支援団体との協働による支援を行ない、必要な支援を行き届かせるといった基本的な組織の枠組みの講聴から始まりました。また「災害時の被災者の心理」では、被災者に生じる心と身体の反応は被害、時期、個人的背景などによって異なり、援助者との対話や関係づくり、今最も気がかりな生活全般の支援、安全・安心の確保がこころのケアの一助になっていき、また援助者自身のメンタルヘルスの維持に努めることも大切であるということでした。
中久木 康一先生による「災害時の歯科の役割と変遷」では、災害時の歯科の役割として身元の確認、新たなニーズに対する応急的歯科対応、歯科保健管理を継続するということでした。災害後の体調不良は発災時は呼吸器感染症、胃腸炎等の急性疾患がありその後1ヶ月頃からはだんだん減り、その後高血圧、腰痛、皮膚炎、不眠症等の慢性疾患は増えてくるとのことでした。その中で歯科衛生士の役割として災害時の肺炎予防として要配慮者の口腔ケアを過不足なく行なっていくため「災害時の歯科口腔アセスメントの体系化」、そして「災害時の歯科口腔アセスメントの実際」と続きました。
久保山 裕子先生による「災害時の歯科衛生士の活動の実際」では、“災害支援の活動で学んだこと”として災害は時場所を選ばないので前例・マニュアルを学び物品の準備しておくこと。避難所の中で歯科相談コーナーがあると、今困っている人を助けられ、変化していく避難所の問題点が把握できる。災害規模によって支援のありかたは違うため、臨機応変に何ができるかを考える歯科衛生士会でありたい、また災害支援を相談会内・会外での連携が重要でありそのためには災害支援活動ができる歯科衛生士を育てることも必要となるとのことでした。「災害歯科保健活動における他職種との連携」では歯科衛生士は歯科保健医療を通して「食べる」ことを支えるを役割とし、問診とアセスメントのとり方、多職種への連携のの事例も紹介されていました。
最後に中久木先生より「被災者の心情に配慮した歯科保健活動」では猪突猛進は迷惑。寄り添う気持ちが大切で、被災者の生活が『いつもに戻る』ことを応援していくが、『いつもに戻る』には時間がかかり災害時の外部支援は一時的なものでありそ、そこから地域支援への引き継ぎをし継続支援の立案をしていくことが重要となる。
「災害歯科保健活動における「食べる」支援」の中では食べられる口を作っても食べられる食形態や環境が整っていなければ『食べる』事に不便さを感じてしまいます。多職種との連携がとれていないと対応ができません。そのためフローチャートを効率的に活用し情報を共有して多職種の連携をはかり『食べる』ことを支えていくということでした。
全体を通して突発的な災害に対して災害時の歯科保健活動とはPFA(サイコロジカル・ファースト・エイド)の活動原則から、まず活動する状況について調べて準備を行い、安全確認や人の確認といった見ること、支援を必要と思われる人々に寄り添い、耳を傾け聞くこと、次に情報を提供し人々を大切な人や社会的支援と結びつけつなぐことを軸に活動していくことと感じました。